神経伝達物質

脳で主な役割を果たしているのが「神経細胞」たちです。
脳には千数百億個の神経細胞が存在し、それぞれが電気信号を発信して、感情や意志、共感、記憶、学習、判断等の精神活動や手足を動かしたり脈拍を高めたりといった肉体の運動活動といった情報のやりとりをしています。

神経細胞は脳内で繋がり合っていて、複雑なネットワーク(神経回路)を作っていますが、細胞同士は直接繋がっているわけではなくて、ほんの少しだけ隙間が空いています。これは頭をぶつけるとかで外側から急に力を加えられたときに、神経細胞が切れてしまって機能が破壊されるのを防いでいるためだと言われています。

神経細胞のつなぎ目はシナプスと呼ばれ、このシナプスの間の隙間では、電気信号で送られてきた情報の量に応じて特定の化学物質が放出され、次の神経の受け取る側に渡されることで、情報が伝わっていきます。この化学物質が「神経伝達物質」なのです。

このとき神経伝達物質の量を調整することで、情報の信号を強めたり、さらに情報を細かく調整しているのです。脳の複雑な情報処理機能は、この神経伝達物質によって行われているのです。

神経伝達物質がニューロンの接点(シナプス)から放出される様子


神経伝達物質の種類

神経伝達物質は、その役割に応じて様々な種類が存在します。
その中でも特に重要な役割を果たしている神経伝達物質は、

  • アセチルコリン
  • ドーパミン
  • ノルアドレナリン
  • セロトニン
  • GABA
  • 一酸化窒素(NO)

といったものたちです。

アセチルコリン

記憶を高める



学習や記憶、覚醒、睡眠といった活動を司っています。アセチルコリンが作用する事で、自律神経系のうち副交感神経の働きを強めます。

回復

記憶

認知

学習

集中力

睡眠

アセチルコリンは身体全体を休憩・回復・リラックスモードに切り替えます。

ドーパミン

やる気・達成感



快楽、向上心、記憶、学習、運動といった活動を司っています。
ドーパミンはノルアドレナリンの前駆体(材料)でもあります。

快感

意欲・動機付け

記憶力

学習

集中力

運動機能の制御

ドーパミンは交感神経を優位にします。

ノルアドレナリン

集中力・ストレスホルモン



覚醒、集中、判断力の向上、痛覚の遮蔽といった活動を司っています。ノルアドレナリン神経系は生命の危機に対応するための神経系で、ノルアドレナリンが作用する事で、自律神経系のうち交感神経の働きを強めます。

交感神経の活性化

ストレス学習

意欲

判断

血糖値の上昇

血流の増加

セロトニン

バランス調整・幸せホルモン



ドーパミン神経系やノルアドレナリン神経系の過剰な興奮を抑え、脳内の神経系のバランスを調整しています。
セロトニンは、深い睡眠をもたらすメラトニンの前駆体(材料)でもあります。

体内時計の調整

情動の制御

精神状態の調整

姿勢を良くする

衝動の抑制

覚醒

GABA(ギャバ:γーアミノ酪酸)

鎮静


興奮系の中枢神経系(ドーパミン・ノルアドレナリン神経系等)の働きを抑制する働きを持っています。

鎮静

抗ストレス

リラックス

脳細胞の代謝向上

脳血流の活性化

内臓機能を高める

一酸化窒素(NO)

血管の若返り・血流増加


一酸化窒素(NO)は非常に多彩な働きを持つ脳内神経伝達物質で、主に運動学習、記憶の形成、脳血流量の調整などを行っています。

脳血流の調整

長期記憶の強化

動脈硬化の防止

抗酸化機能

免疫の向上

生殖機能の向上